子どものため(本当は自分のため?)に何かしたい私が、「待つ」を選んでいる

子どもが学校でつらい思いをしていると聞いたとき、親は何をすればいいのでしょう。

すぐに学校へ連絡する。
先生に説明を求める。
関係機関へ相談する。
子どもを休ませる。
別の居場所を探す。

できることはいくつも浮かびます。
私も、次女の話を聞くたびに、すぐ動きたくなります。

けれど今、私はあえて「待つ」という選択をしています。
何もしないためではありません。
娘の言葉を、娘のものとして受け取るためです。

目次

娘は、気持ちを張りつめながら学校へ行っている

最近、次女と担任の先生との間で、気になる出来事が続いています。

先生の強い口調に怖さを感じたこと。
聞き取れないほど小さな声で話されたあと、突然大きな声で叱られたこと。
娘自身が、先生の言葉や態度に違和感を持っていること。

娘から話を聞くたびに、胸の中がざわつきます。
本来、学校は子どもが安心して過ごせる場所であってほしい。
困ったときには、大人に守ってもらえる場所であってほしい。

それなのに今の娘は、「先生と闘いたい」という気持ちで学校へ向かっています。
小学生の子どもが、気持ちを張りつめながら学校へ行く。
そのことを考えるだけで、本当は今すぐ娘を学校から遠ざけたくなります。

「行かなくてもいい」と伝えても、娘は自分で確かめたいと言う

私は娘に、無理をして学校へ行かなくてもいいと伝えています。

心を休めてもいい。
フリースクールなど、学校以外の場所を考えてもいい。
今日は行けないと思ったら、休んでもいい。

けれど娘は、自分で学校の様子を見たいと言います。

これからどうなるのか、確かめておきたい。
先生がどう接してくるのか、自分で見ていたい。

その気持ちは、私が予想していたものとは違いました。

私は、娘は学校へ行くのが怖くて、休みたいと思っているのだと考えていました。
もちろん、不安も疲れもあると思います。
それでも娘の中には、ただ逃げるのではなく、自分の目で確かめたいという思いがあるようです。

私はその気持ちを、簡単に「行かないほうがいい」と止めることができませんでした。

私は、先回りしてすべてを整えたくなる

私はもともと、問題が起きるとすぐに解決策を探したくなるほうです。

学校へ何を伝えるか。
関係者会議では何を話すか。
記録はどのように残すか。
次に同じことがあった場合、どこへ相談するか。

まだ起きていないことまで考え、頭の中で何通りもの対応を組み立てます。
娘の話を聞いているだけなのに、心の中はじっとしていられません。

「そのとき、どうして言わなかったの」
「次はこう言ったほうがいい」
「先生にお母さんから伝えようか」

そんな言葉が、すぐに浮かびます。

けれど、それを全部口にすると、娘の気持ちより先に、私の不安が会話を埋めてしまいます。
娘が話したかったことと、私が解決したいことは、同じではないかもしれません。
だから私は今、動きたくてむずむずする気持ちを抱えながら、まず話を聞くようにしています。

泣く代わりに、娘は言葉で自分を守り始めた

これまでの次女は、悔しいことや怖いことがあると、泣いたり興奮したりすることが多くありました。
伝えたいことはあるのに、気持ちが大きくなりすぎて、言葉が追いつかない。
あとから聞くと、本人なりの理由があります。

けれどその場では、泣いたことや声が大きくなったことだけが目立ち、本当に伝えたかったことが届かないこともありました。
そんな娘が先日、先生の言葉に対して、自分の考えを返したと話してくれました。

先生から「はいはい」と言われたときには、
「先生、『はい』は一回でいいんですよ」
と伝えたそうです。

また、納得できない言葉をかけられたときには、
「先生、支援学級の先生がそんなことを言っていいんですか」
と返したと聞きました。

その場を私が直接見ていたわけではありません。
どのような流れで、その言葉が出たのかも、すべてを知っているわけではありません。
それでも私は、娘が泣く代わりに自分の気持ちを言葉にしたことに、成長を感じました。

言い方は、これから一緒に考えていけばいい。

まずは、自分の中の違和感を無視せず、「私はそう思わない」と言えたこと。
それは、娘が自分を守ろうとした瞬間だったのだと思います。

待つことは、見過ごすことではない

「待つ」と書くと、学校で起きていることを放置しているように見えるかもしれません。
けれど私は、何もしていないわけではありません。
娘から聞いたことは、できるだけ事実と本人の言葉を分けて記録しています。

いつ、どこで、どのようなことがあったのか。
娘はそのとき、どう感じたのか。
帰宅後の様子や、疲れ方に変化はなかったか。

もし娘の安全に関わることがあれば、待たずに動くつもりです。
ただ、今は一つひとつの出来事に私がすぐ答えを出すのではなく、娘が何を感じ、どうしたいと思っているのかを聞く時間を大切にしています。

待つことは、見過ごすことではありません。
状況を見ながら、必要なときに動けるよう準備しておくこと。
そして、親の不安だけで子どもの選択を奪わないこと。

私にとっての「待つ」は、そんな意味を持っています。

守ることと、子どもの力を信じること

親としては、子どもが傷つかない道を選ばせたいと思います。

失敗しないように。
怖い思いをしないように。
理不尽な言葉を受けなくて済むように。

できることなら、子どもの前に立って、すべてを防ぎたい。
けれど、親が先にすべてを取り除いてしまうと、子どもが自分で考えたり、自分の言葉を使ったりする機会まで奪ってしまうことがあります。

守ることと、任せること。
助けることと、見守ること。

どちらか一つを選べばいいわけではなく、その間を何度も行き来するのが子育てなのかもしれません。

私は、娘を守りたいと思っています。
同時に、娘の中に育ち始めた「自分を守る力」も信じたい。
その二つは、反対のものではないのだと思います。

母親の不安を、子どもの答えにしない

私はこれまで、子どものためだと思って、先回りしてきたことがたくさんあります。
困りそうなことを予想し、必要になりそうな支援を探し、学校や関係機関に説明する。
実際、それが必要だった場面もありました。

子どもだけでは伝えられないことを、親が代わりに伝えなければならないこともあります。
けれど最近、気をつけたいと思うようになったことがあります。

私が感じている不安と、娘が望んでいることは、必ずしも同じではありません。
私が「もう休ませたほうがいい」と思っていても、娘は「もう少し自分で見たい」と考えていることがあります。
私が「すぐ先生に伝えなければ」と思っていても、娘はまず自分の話を聞いてほしいだけかもしれません。

私の不安を、娘の答えにしてはいけない。

そう思いながら、すぐに口を出したくなる自分を止めています。
これは、私にとって簡単なことではありません。
何かをするよりも、何も言わずに隣にいるほうが苦しい日があります。

「待つ」は、子どもを一人にすることではない

待つというのは、子どもにすべてを任せて、一人で頑張らせることではありません。

娘が学校へ行くと決めたなら、帰ってきたときに話を聞く。
休むと決めたなら、その選択を責めない。
助けてほしいと言ったときには、すぐに動く。
うまく説明できないときには、一緒に言葉を探す。

娘の代わりに人生を決めるのではなく、娘が決めるときに孤立させない。
その距離を探しているところです。
私はまだ、上手に待てているとは思いません。

娘が学校へ行っている間も気になります。

帰宅した表情を見て、今日は何があったのだろうと考えます。
少し疲れているだけでも、先生との間に何かあったのではないかと不安になります。
それでも、玄関を開けた娘に、すぐ「今日は何かあった」と聞かないようにしています。

「おかえり」と言って、娘が自分から話し始めるまで、少し待ちます。
ほんの短い時間ですが、私にとっては大きな練習です。

子どものためにできることは、動くことだけではない

子どものために何かをしたい。
その思いは、今も変わりません。

ただ、「何かをする」ことだけが、子どもを支える方法ではないのだと思い始めました。

話を遮らずに聞くこと。
すぐに正解を教えないこと。
本人の気持ちが決まるまで、少し時間を置くこと。
何かあったときに動けるよう、静かに記録しておくこと。

待つことも、親にできることの一つです。

むしろ私にとっては、すぐに動くことよりも難しいことかもしれません。
私はこれからも、必要なときには動きます。
こどもの安全が脅かされていると感じたなら、遠慮せずに声を上げます。

けれど、私が不安だからという理由だけで、娘の気持ちを追い越さないようにしたい。

娘は今、自分の感覚を確かめ、自分の言葉で伝えようとしています。
私はその隣で、手を出したくなる気持ちを握りしめながら、待っています。

何もしないのではありません。

娘が自分で立とうとするときに、その足元が崩れないように見ている。
必要なときには、いつでも手を差し出せる場所にいる。
子どものために何かしたい私が、今選んでいるのは、そんな「待つ」という関わり方です。

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